家にも会社にも居られない人はどこにいけばよかったのか。
インフラ系に勤める後輩の面倒を見たがりの父は酒に酔うと、特段ビートたけしのTVタックルを見ていた月曜日に多かったのだが、こんな話をしていた。
「地方から出てくる若い子はかわいそうだった。独身寮にこもったままの事が多くて友達もできにくい。だから政治や宗教に走ってのめり込んでしまう人も多かった。」
僕はふぅん、と思いながら聞いていたことをここ最近よく思い出す。
確かに一人暮らしを始めると
いかに孤独な休日の喪失感から身を守るかが重要であるか
痛烈に感じるからだ。
家族というセーフティネットもない。
職場の人間とは休日に会いたくないのは当然である。
では僕は今までどうだったか。
同じ大学を出て、赴任先のこちらで毎日のように連絡を取り合い、土日になれば飲んでいた友達がいた。
だが彼は精神を病めて地元へ帰ってしまった。
もちろん今も仲はよい。
けれども連絡する頻度は明らかに減ったし、会わなくなってしまった。
何となく、連絡を取りにくくなったというのもある。
彼は仕事も私生活も順調そうだった。
一方で僕は成績は良くない。体調も悪い。気分は落ち込む……と完全なデフレスパイラルに陥っている。
僕の実家の近くには「県人会」があった。15年ぐらい生きていて、そこで何かしらの活動があったかどうかはわからないが、
きっと戦後集団就職で都会に出てきた60年前の僕のような人たちが県人会を作ったんだろうなと思う。
政治や宗教に自分の居場所を求めた人たちは、その後幸せに過ごす事ができたのだろうか。
とにかく僕は居場所がほしい。